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R・オースティン・フリーマン『キャッツ・アイ』刊行予定

 リチャード・オースティン・フリーマン『キャッツ・アイ』(1923)が、ちくま文庫から刊行される予定です。
 『キャッツ・アイ』は、ノーマン・ドナルドスン、トーマ・ナルスジャック、トニー・メダワーとダクラス・G・グリーンなどがフリーマンの代表作の一つとして挙げている長編であり、ナルスジャックが推していることからも分かるように、同書のプロットは、フリーマンの作品の中でも最も緻密で錯綜した構造を持っています。大団円における、バラバラとしか思えない様々な手がかりをパズル・ピースのように一つの絵にまとめるソーンダイク博士の推理は、ドナルドスンの言うように、確かに「称賛に値する」ものと言えるでしょう。
 さらに、『キャッツ・アイ』は、本来、「ウェストミンスター・ガゼット」紙に掲載された作品であり、連載小説らしく、めまぐるしいストーリー展開を特徴としています。もう一つの代表作『オシリスの眼』では、失踪したエジプト学者の謎を中心にじっくりと展開していくストーリーでしたが、『キャッツ・アイ』では、サスペンスフルな出来事が次々と起き、ソーンダイク博士物の中でも、これほど起伏のある冒険小説的な展開の作品は稀でしょう。
 なお、『キャッツ・アイ』で語り手となるのは、『赤い拇指紋』でルーベン・ホーンビイの弁護士を務めたロバート・アンスティ弁護士。そのほか、ブロドリブ弁護士、犯罪捜査課のミラー警視、バジャー警部など、他の作品にも繰り返し登場する準レギュラー・メンバーが登場しています。ジャーヴィスはアメリカ出張で不在ですが、ポルトンは新たな発明品を生み出すなど、大活躍しています。
 多くの読者の皆様に楽しんでいただけることを願っております。



        青いスパンコール
  H・M・ブロックが描くソーンダイク博士(「青いスパンコール」より)



        砂丘の秘密
  フランク・ワイルズが描くソーンダイク博士(左)とアンスティ弁護士(右)(「砂丘の秘密」より)
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

フリーマン『キャッツ・アイ』が予約開始

R・オースティン・フリーマン『キャッツ・アイ』(ちくま文庫)の予約受付が始まっています。

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「宝石収集家の死、暗号と失われた権利書、隠し部屋探し。複雑に絡み合う謎を解き明かすソーンダイク博士の活躍。英国黄金時代ミステリの名作。 」

 多くの読者の皆様に楽しんでいただけることを願っております。

日本人画家が描いたソーンダイク博士--『猫眼石』

 R・オースティン・フリーマン『キャッツ・アイ』(ちくま文庫)が来年一月に刊行予定。
 同書は昭和4年(1929)に平凡社から『猫眼石』というタイトルで抄訳が刊行されている。翻訳というより翻案に近いものだが、口絵が興味深い。
 SAMUROという署名があるが、著者の生前に日本人の画家が描いたソーンダイク博士の肖像として貴重なものだ。ピアスン誌で最後に挿絵を描いたのは、1927年2月号で「ポンティング氏のアリバイ」の挿絵を担当したレジナルド・クリーヴァーなので、そのわずか二年後ということになる。
 描かれているのは、『キャッツ・アイ』第17章で、ソーンダイクとアンスティが隠し部屋に閉じ込められてしまう場面。懐中電灯を手にしているのがソーンダイクだ。
 意外に若々しく、ハンサムに描かれていて、H・M・ブロックの描くソーンダイクとはかなりイメージが異なるが、雰囲気的には近いかもしれない。

            猫眼石

R・オースティン・フリーマン『キャッツ・アイ』が刊行

 R・オースティン・フリーマン『キャッツ・アイ』(1923)がちくま文庫から刊行されました。
 「宝石収集家の死、姉弟に迫る怪しい影、聖書の暗号に隠された秘密――複雑に絡み合う謎にソーンダイク博士が挑む。本格推理に冒険的要素を加えた、英国黄金時代ミステリの名作。」
 ノーマン・ドナルドスン、トーマ・ナルスジャック、トニー・メダワー、ダグラス・G・グリーンなど、多くの批評家からフリーマンの代表作の一つとして評価された長編。
 多くの読者の皆様に楽しんでいただけることを願っております。

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       キャッツ・アイ

フリーマン『キャッツ・アイ』の書評が「ミステリマガジン」5月号に

 若林踏氏によるR・オースティン・フリーマン『キャッツ・アイ』(ちくま文庫)の書評が、「ミステリマガジン」2019年5月号に載りました。
 「・・・本作は事件にまつわる情報が次から次へと増えていく。この情報の洪水を上手く処理し、ひとつの綺麗な構図に再構築できるかが鍵になるのだ。事実を着々と重ねていく推理に美しさを感じる読者には堪らないものがある」と述べておられます。
 最終章「証明終わり(Q・E・D)」におけるソーンダイク博士の推理をプロットの中心と捉え、冒険小説的な展開の中にもロジックの緻密さをしっかりと貫くフリーマンの特長を的確に評価していただいたのは、我が意を得たりという思いです。
 

 なお、新保博久氏も別にレビューを立てておられるが、これはむしろ、主に1929年に出た『猫眼石』についてのレビューのように思える。新保氏はこれを「立派な翻訳」と評価しておられるのだが、たとえば、「あなたを人殺しの巣窟にしれっと入っていかせたことで、ソーンダイク博士に食ってかかりたい気もするけど」(ちくま文庫352頁)というウィニーのセリフが、「かうやって恐ろしい悪人の巣窟の中を貴方と御一緒に無事に歩けるのもあの方のお蔭ですものねえ」となっているなど、意味を真逆にしながら辻褄のあった流れにしてしまう箇所もあちこちにあって、確かに、ある意味、名人芸の訳かもしれないと思う。ソーンダイクが最後に火をともす描写が出てくるだけのトリチノポリ葉巻を、章の最初のほうで「紫煙が彼の口許の邊からただよいはじめた」と、さっさとふかす設定に変えてしまうなど、ほとんど翻案の域に近い面もあって、私からすると、こんなのに比べれば、第一章の章題を「人生の眞中にて」としていることぐらい、たいしたことではないようにすら思えるのだが、新保氏はそうは思われないらしく、「ほかにはひどい誤訳も目につか」ないそうだ。「文字数だけ」で評価するとそうなるのかもしれない。もちろん、昭和4年という時代を考慮すれば、開拓的な業績として評価する点で私も異論はない。
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S・フチガミ

Author:S・フチガミ
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