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ジョン・ロード『クラヴァートンの謎』刊行予定

 ジョン・ロードの『クラヴァートンの謎』(英題:The Claverton Mystery、米題:The Claverton Affair:1933)が論創社の論創海外ミステリから刊行される予定です。
 『代診医の死』のあとがきでも述べましたが、ロードの作品は1940年代以降の作品になると、中間部に延々と尋問や議論の場面が続き、ストーリー展開が滞って退屈さを感じさせる作品が増えてきます。しかし、脂の乗っていた1930年代までの作品には、プロットに覇気があるだけでなく、ストーリー展開や人物描写にも丁寧に取り組んだ作品が多く、『クラヴァートンの謎』はその時期の代表作と言えるでしょう。ハウダニットを得意としたロードの面目躍如たる作品というだけでなく、大団円における降霊術会の演出を含め、ストーリー展開や見せ場、人物描写にも起伏があり、読み応えという点でも秀でた作品です。
 『クラヴァートンの謎』は、“A Catalogue of Crime”の編者ジャック・バーザンとウェンデル・ハーティグ・テイラーが、『ラリーレースの惨劇』、“Hendon’s First Case”、『ハーレー街の死』と並んでロードの代表作の一つに挙げ、ビル・プロンジーニ&マーシャ・マラー編“1001 Midnights”でも『ハーレー街の死』とともに挙げられています。また、H・R・F・キーティングが選定したコリンズ社の“The Disappearing Detectives”叢書における復刊書の一つにも選ばれています。
 “1001 Midnights”でも特筆されていますが、他の作品では内面の思考過程を滅多に見せないプリーストリー博士が、同作では心理の動きが事細かに描写され、鬼神のごとき叡知を秘めた名探偵としてではなく、感情の起伏や迷いなどをあらわにするヒューマンな存在として描かれています。また、中期以降の作品に見られるように、土曜の例会で語るだけの不活性化した存在ではなく、人の家やよその町を積極的に訪れ、関係者にも直接聞き込みをするなど、自ら活発に行動する姿が描かれており、それがストーリー展開にもプラスの効果をもたらしています。
 さらに、同作は、レギュラー・メンバーの一人、オールドランド医師の初登場作でもあります。のちの作品の多くでは、土曜の例会の出席メンバーの一人に役割がほぼ限定され、人物描写も平板化してしまいますが、本作では、被害者の主治医として重要な役割を演じているだけでなく、医師の過去や子息の存在も事件に深く関わるなど、個人史的な経緯や人間的な魅力も描きこまれています。
 多くの読者の皆様に楽しんでいただけることを願っております。


        Tragedy at The Unicorn
      ランスロット・プリーストリー博士(Tragedy at The Unicornのダスト・ジャケットより)
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ジョン・ロード『クラヴァートンの謎』が予約開始

 ジョン・ロード『クラヴァートンの謎』(論創社)の予約受付が始まっています。
 2月28日発売の予定です。

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 「急逝したジョン・クラヴァートン氏を巡る不可解な謎。遺言書の秘密、不気味な降霊術、介護放棄の疑惑……。果たして彼は“殺された"のか?」

 多くの読者の皆様に楽しんでいただけることを願っております。
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S・フチガミ

Author:S・フチガミ
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