オースティン・フリーマン「アルミニウムの短剣」

 「アルミニウムの短剣」(邦訳は『ソーンダイク博士の事件簿1』創元社収録)は、ピアスン誌1909年3月号に掲載されたソーンダイク博士物の短編。
 雑誌掲載版で挿絵を描いているのは、フリーマンが信頼を寄せていたH・M・ブロック。本編には、ブロックの挿絵のほかに、フリーマンの描いたアルミニウムの短剣のスケッチが挿入されている(邦訳にも収録されているので、ここでは敢えてアップしなかった)。
 ジャーヴィスとポルトンのほか、『オシリスの眼』でおなじみのバジャー警部と弁護士のマーチモント氏も登場している。


アルミニウムの短剣1


アルミニウムの短剣2


アルミニウムの短剣3


 フリーマンにしては珍しい、密室殺人をテーマにした短編である。邦訳の解説で戸川安宣氏が述べておられるように、本作のトリックは、カーター・ディクスンの『プレーグ・コートの殺人』に影響を与えたものと考えられる。
 ノーマン・ドナルドスンは“In Search of Dr. Thorndyke”の中で、フリーマンの息子ジョンの証言を引用し、フリーマンが同じグレイヴズエンドの住人の土木技師でアマチュア・カメラマンだったフランク・スタンドフィールドの協力を得て、本作で用いられたトリックの実験を行った時の様子を伝えている。トリックを観念的にひねり出すのではなく、実行可能か実際に実験してみた上で用いたフリーマンの実証精神を伝えるエピソードとして興味深い。
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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