オースティン・フリーマン ‘The Pathologist to the Rescue’

 ‘The Pathologist to the Rescue’は、最初、ピアスン誌1927年1月号に‘Thorndyke to the Rescue’というタイトルで掲載され、その後、短編集“The Magic Casket”(1927)に収録された。
 象皮病という珍しい病気をプロットに取り入れた作品で、フリーマンが若い頃に医師としてアフリカに赴任していた時の経験が活かされている。象皮病は、フィラリアという寄生虫が蚊を媒介して寄生することで発症する病気。フィラリアというと、今日では犬の病気のように思われがちだが、人に寄生するフィラリアは、かつては日本にも分布していた時期があり、西郷隆盛が罹っていた病気としても知られる。
 オリジナルの雑誌掲載版には、血液の顕微鏡写真が二枚挿入されているが、単行本収録時には省かれている。イラスト画家は、レジナルド・クリーヴァー。


Rescue1
 右から二番目がソーンダイク博士。右端はジャーヴィス医師だが、口ひげを生やしていて、H・M・ブロックが描く、眼鏡をかけたジャーヴィスとは、まるで印象が違うのが面白い。


Rescue2

 
 ソーンダイク博士物の短編には、博士を指す名称が使われている例が幾つかある。“The Anthropologist at Large”、“The Naturalist at Law”、“The Pathologist to the Rescue”という具合で、博士が人類学者、自然学者、法医学者、病理学者という、いろんな側面を持った博覧強記の人、というより、ほとんど超人的な多芸多才の人であることを示しているようで面白い。
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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No title

また貴重な情報をありがとうございます。
最近は、ソーンダイク博士の新しい情報を眼にすることが無いのでとてもうれしいです。

博士を指す名称、面白いですね。
いろいろな肩書きを持つ博士らしいです。

確かに面白い

ある作品では、迫害を避けるために設けられた隠し部屋や秘密の抜け道などを探知する専門家としても描かれています。理科系に偏らないところも面白いですね。
その作品で、登場人物が博士のことを評するのに、『彼は触れたるもののすべてを飾れり(Nihil quod tetigit non ornavit)』という、サミュエル・ジョンスンが寄せた詩人オリヴァー・ゴールドスミスの墓碑銘を引用する場面もありますが、ほんとにそんな感じです。
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