ジョゼフ・カミングズ ‘Assassination—Middle East’

 ‘Assassination—Middle East’は、Mike Shayne Mystery Magazine誌1981年5月号に掲載されたバナー上院議員物の中編。

 ストーリーは、イスタンブールのアメリカ領事館の職員、ノーマン・クロスが語り手となって進行する。
 クロスは、ペーター・ガイストとその妻に、査証を発給した旅券を渡すために、丘の上にある彼らの家に向かっていた。ガイストは、西ドイツ出身の引退した舞台俳優で、シェークスピアの「テンペスト」のプロスペロー役で知られていた。
 家に近づいてくると、男が家の玄関口のところに立っていて、クロスは、旅券の写真から、それがガイストだとすぐに分かった。ガイストは、白い手袋をはめ、足まで隠れる風変わりなローブを着て立っており、その姿は当たり役だったプロスペローを連想させた。
 クロスが近くまで来ると、ガイストは玄関の中に姿を消してしまい、ドアまで来ると、ガイスト夫人が出てきて、クロスを迎える。クロスは、夫人に、ガイストの査証申請書にサインがないので、目の前でサインしてくれるよう頼むが、夫人とともに家の中を探しても、ガイストの姿はなかった。クロスは、本人のサインなしでは渡せないと、旅券の返還を拒む。
 クロスが領事館に戻ってくると、大騒ぎになっていた。現地の大使や外交官を招いた夕食会の場に、ターブーシュ(イスラム教徒がかぶるフェルト製の赤い縁なし帽)をかぶったハッジ・ハサーンというアラブ人が、リボルバーを持って闖入し、領事を射殺するという事件が起きていたのだ。そこには、同じ夕食会に招かれながら、飛行機が遅れて、あとから現場に来たバナー上院議員も居合わせていた・・・。

 人間消失の謎をテーマにした作品だが、トリック自体は得心できるものとは言い難かった。もっとも、これもあくまで個人的な感想であり、面白いと思う人もいるだろう。
 事実関係も気になるのだが、イスタンブールはトルコ最大の都市ではあるものの、首都はアンカラであり、イスタンブールに総領事はいても、大使はいない。各国大使は、通常はアンカラに駐在しているはずだし、まして、イスタンブール駐在のアメリカ総領事主催の夕食会に集まってきたりするか? まあ、謎解きがメインのミステリなのだから、そんなことに目くじら立てても仕方ないのだが・・・。
 バナーは、ネロ・ウルフ並みの肥満体だというのに、本作ではイスタンブールに来ているし、‘The Fire Dragon Caper’という作品では香港が舞台になっている。ウルフもモンテネグロまで行ったりしているが、バナー上院議員も精力的に世界を飛び回る活動家のようだ。



Mike Shayne81.5
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