ローレンス・G・ブロックマン ‘Goodbye, Stranger’

 ‘Goodbye, Stranger’は、本国版EQMM1964年10月号に掲載された、単行本未収録のコーヒー博士物のショート・ショート。
 なお、この号は、コーネル・ウールリッチの「万年筆」を再録しているほか、ローレンス・トリートのミッチ・テイラー物の‘D as in Detail’の初出誌でもある。

 瀕死の男が、コーヒー博士の務めるパストゥール病院に運び込まれ、入院していた。男はジェイムズ・ドークネス名義の運転免許証を所持していたが、マックス・リッター警部補が調べると、当のドークネスは一年前にひき逃げ事故で死亡していた。
 男が運び込まれたのは週末で、コーヒー博士はその間不在にしていたが、リッター警部補から調査を依頼される。コーヒー博士が担当のグリーン医師に確認すると、男は入院した初日は時おり意識があったが、その後、黄疸を発症して昏睡状態に陥り、肝炎にアルコール中毒を併発しているという診断を下されていた。グリーン医師の話では、男は意識のある時に、「毒を盛られた。あの女が盛ったんだ」と繰り返していたという。
 男を見つけて救急車を呼んだのは、アイリーン・オズボーンというブロンドの美女で、彼女の話では、シャワーを浴びている時にドアベルが鳴り、隣の家の女友だちが来たと思い込んだ彼女は、身支度をしてから階下におりると、男が意識を失ってソファに横たわっているのに気づいた。男はおう吐していたが、恐慌に陥った彼女は隣家の友人に助けを求め、おう吐物も掃除してしまったという。
 男はその夜に死亡し、コーヒー博士は検死解剖を行うが、死亡までに三日経過していたため、ヒ素以外のアンチモンや水銀のような毒物は、仮にあったとしても既に体内からほとんど消えていたし、ヒ素も検出されなかった・・・。

 短い作品でもあり、レギュラー・メンバーのムーカージ博士は登場しない。コーヒー博士は、検出されたある毒物の特性から、毒物の入手経路と被害者に気づかれずに毒を盛った方法を突き止める。いつものようにプロットはシンプルで、伏線もうまく張ってあるが、ある程度の専門知識がないと一般読者には容易には見抜けないだろう。なお、作中で言及のあるラインシュ法というヒ素検出に用いられるテストは、フリーマンの作品でも何度か詳細なプロセスが描かれている、おなじみのテストだ。
 珍奇な毒物や奇抜な毒殺法をプロットの売りにするのではなく、謎解きの手がかりとして毒物の特性を利用するところが、いかにもブロックマンらしい。


EQMM64-10
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