E・C・ベントリー ‘The Feeble Folk’

 ベントリーの単行本未収録短編も紹介しておこう。‘The Feeble Folk’は、ベントリーがEQMM本国版1953年3月号に寄稿した短編。タイトルは、旧約聖書「箴言」第30編26節に由来する。
 なお、同号には、フランク・ストックトンの「女か虎か」と「三日月刀の促進士」、ウールリッチ「さらばニューヨーク」、ジェームズ・ヒルトン「蝙蝠の王」、スコット・フィッツジェラルド「舞踏会」、トマス・フラナガン「獅子のたてがみ」、T・S・ストリブリング‘The Warning on the Lawn’も掲載されている。

 ボリビアに金を探しにやってきたハンティンドン中佐は、現地で伝道活動を行っているアクィラ神父のところに滞在していた。中佐は、ある日の日没時に、巨大な白いウサギが大麦の畑を走り去るのを目撃する。パブロというインディオの若者が、それは「収穫をもたらす者」という一種の魔王だと言う。
 パプロによれば、その姿は毎年目撃され、春に目撃されないと収穫がもたらされず、食料不足に陥るという。中佐は、その話を迷信だととりあわず、熊ではないかと考えていた。中佐は、現地住民のばかげた迷信に終止符を打つべく、神父の止めるのも聞かず、翌朝、二人のインディオを連れて、その動物を捕獲して皮をはぐために山中に向かう。
 山に入って三日目の朝、中佐は、同行したインディオたちが夜の間に逃亡し、自分一人になっているのに気づく。中佐は、雪が覆う山の斜面に、巨大なウサギがいるのを発見し、ライフルで射撃する。手応えを感じた中佐は、獲物を確かめに近づくが、死にゆく獲物が自分を見つめると、とたんに恐怖にとらえられ、意識を失う。再び意識を取り戻した中佐は、獲物の姿が跡形もないのに気づく・・・。

 「犯罪小説というよりはホラー」というチャールズ・シバクの評のとおり、オカルト色の強いホラー作品だ。トレントのシリーズに親しんだ読者にしてみると、意外の念を抱くかもしれないが、ベントリーのストーリー・テリングの巧さを楽しめる好編といえる。


EQMM53.3
スポンサーサイト

テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

S・フチガミ

Author:S・フチガミ
お問い合わせ等は
fuhchin6491
(アットマーク)
hotmail.co.jp
へどうぞ

カテゴリ
フリーエリア
天気予報
リンク
検索フォーム
アクセスカウンター
RSSリンクの表示