“John Thorndyke's Cases”

 『クイーンの定員』にも選ばれているフリーマンの“John Thorndyke’s Cases”の英初版(1909年:チャトー&ウィンダス社)は、H・M・ブロックの挿絵のほか、フリーマンが描いたイラストや自ら撮影した顕微鏡写真が挿入されている点で貴重だ。
 ドナルドスンも“In Search of Dr. Thorndyke”の中で言及しているが、その後の英ホダー&スタウトン社や米ドッド・ミード社の版にはブロックの挿絵や顕微鏡写真は欠けているからだ。(フリーマンのイラストは載っている。)
 英初版には、ブロックの挿絵や顕微鏡写真に言及している著者序文もあるが、これものちの版では省かれている。
 しかし、同書収録の短編が最初に掲載されたピアスン誌を参照すると、ブロックの挿絵もオリジナルの雑誌版から一部が再録されたにすぎないこと、顕微鏡写真についても、雑誌版にのみ掲載され、単行本では省かれたものもあることが分かる。
 ドナルドスンが “In Search of Dr. Thorndyke”の表紙に用いた、ブロックによるソーンダイク博士の横顔のイラストは、創元推理文庫の『ソーンダイク博士の事件簿Ⅱ』のカバーにも使われているが、これはドナルドスンがピアスン誌掲載の「青いスパンコール」から再録したものであり、チャトー&ウィンダスの単行本には載っていない。
 ソーンダイクの短編第一作に当たる「青いスパンコール」は、雑誌掲載時には、牛の角の写真と脳神経細胞の顕微鏡写真が掲載されていたが、これも単行本では欠けている。
 それなら、初版より雑誌版のほうが内容が充実しているのかと言えば、事はそう単純ではなく、単行本化の際に追加されたイラストや写真もあるから、実にややこしい。
 「深海からのメッセージ」は、雑誌掲載時には毛根の顕微鏡写真が掲載されていないが、単行本には収録されているし、「モアブ語の暗号」も暗号解読後のイラストが雑誌版には欠けている。
 したがって、この本に関しては、英初版と雑誌版は相補的で、両方揃って初めて十分なものになるようだ。
 ここでは、ピアスン誌版の「青いスパンコール」に掲載された写真を以下にアップしておきたい。


つの



脳細胞
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