オースティン・フリーマン 「青い甲虫」

 「青い甲虫」(The Blue Scarab)は、ピアスン誌1923年1月号に掲載されたソーンダイク博士物の短編。同年刊行された“Dr. Thorndyke’s Case-Book”に収録された(邦訳は『ソーンダイク博士の事件簿2』創元社収録)。
 以前の記事でも述べたとおり、エドガー・アラン・ポーの「黄金虫」(The Gold Bug)を意識した作品で、暗号と宝探しというテーマはもちろん、タイトルにもそのことが表れている。
 「文字合わせ錠」とともにフリーマンの暗号物の一つとして知られるが、「文字合わせ錠」がストレートかつ難解な暗号物だとすれば、こちらは暗号そのものに特別な仕掛けはなく、シンプルなミス・ディレクションで意外性を演出するところにプロットのかなめがある。
 挿絵を描いているのは、ハワード・K・エルコック。当ブログで紹介するのはこれが初めて。全部で11作のソーンダイク物の短編に挿絵を描いており、数の上では、14作で描いているH・M・ブロックに次ぐ。これまで紹介してきたフランク・ワイルズ、レジナルド・クリーヴァーも含め、いずれも、有名なブロックの挿絵を意識してソーンダイクを描いているせいか、あまり違和感はない。(但し、ジャーヴィスは別で、エルコックとクリーヴァーは口ひげを蓄えさせている!)

青い甲虫1

青い甲虫2

 単行本収録版には、ヒエログリフの暗号とその解読を示すスケッチが二枚挿入されているが、雑誌掲載版には、さらに、ヒエログリフの発音を図解するスケッチが挿入されている。これが単行本収録の際に省かれた理由は分からない。

青い甲虫3
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