ベイジル・ウィリング博士とソーンダイク博士

 ヘレン・マクロイが創造したベイジル・ウィリング博士のシリーズを読んでいると、当然の連想ではあるが、フリーマンのソーンダイク博士を彷彿とさせることがある。いずれも医学の専門家で、名探偵にありがちな奇癖もなく、紳士的な人物だからだ。それでいて、同じ医学でも、ソーンダイク(フリーマン)は専門が異なるせいか、精神科の分野に立ち入ることがほとんどなかったため、ウィリング博士の探偵術は、ソーンダイクの二番煎じとならずにオリジナリティを発揮できたとも言えそうだ。
 そう考えてくると、マクロイはフリーマンの作品にもそれなりに親しんでいて、意識していた面があったのではないかと推測したくなるのだが、作品自体を読んでいても、その証拠を見つけることはなかなかできない。
 わずかではあるが、“The Thorndyke File”第11巻(1981)に寄せられた、編者ジョン・マカリーアの夫人、ルース・D・マカリーアの証言がある。それによると、マクロイは、マカリーア夫妻に対し、『死の舞踏』(1938)でウィリング博士をデビューさせる前から、ソーンダイク博士物については生半可以上の知識を持っていたと断言していたらしい。ルース・マカリーアは、そこから、『死の舞踏』に登場するヴィクトリーヌはポルトンを模倣したキャラクターではないかと推測しているようだ。
 それはともかくも、国も違えば、世代も異なる作家ではあったが、マクロイがフリーマンの作品を意識していたと言われると、それなりに納得できてしまうし、上記証言からしても、ウィリング博士の人物造形がソーンダイク博士からある程度の影響を受けていた可能性はかなり高いのではないかと思っている。
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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