ボドキン“Paul Beck, The Rule of Thumb Detective”

 マシアス・マクドネル・ボドキン(1850-1933)は、アイルランドの判事を務めた人で、探偵小説作家としては、ポール・ベック一家のシリーズを書いたことで知られる。
 その最初の短編集“Paul Beck, The Rule of Thumb Detective”(1898年)は『クイーンの定員』に選ばれ、エラリー・クイーンは『クイーン談話室』の中でも「最初の探偵一家」という項で同シリーズに触れている。
 クイーンは、ポール・ベックとドーラ・マールという元々独立していたキャラクターを長編の中で出合わせ、結婚させた上に、生まれた息子もシリーズ・キャラクターにしてしまうというアイデアが特にお気に入りだったようだ。
 ボドキンのこのシリーズは長い間入手困難だったようだが、カナダのバタード・シリコン・ディスパッチ・ボックスが全シリーズを収録した“Detective Fiction: The Beck-Myrl Family Omnibus”を刊行してくれたおかげで容易に読めるようになった。
 シリーズを列記すると以下のとおり。

 “Paul Beck, The Rule of Thumb Detective”(1898年:短編集)
 “Dora Myrl, The Lady Detective”(1900:短編集)
 “The Quests of Paul Beck”(1908:短編集)
 “The Capture of Paul Beck”(1911:長編)
 “Young Beck, A Chip of the Old Block”(1912:短編集)
 “Pigeon Blood Rubies”(1915:長編)
 “Paul Beck, Detective”(1929:短編集)

 日本では第一短編集から「代理殺人」が『クイーンの定員1』(光文社文庫)に収録されている。ポーストやルブランも用いた古典的なトリックで知られる作品で、最も古い用例というだけでなく、最も効果的に用いているのもボドキンであるように思える。
 第二短編集からは「ステッキのキズは?」が『世界鉄道推理傑作選1』(講談社文庫)に収録されていて、初々しいドーラ・マールの活躍ぶりが楽しめる。
 私の手元にある“Paul Beck, The Rule of Thumb Detective”は、著者ボドキンの私蔵本だったもので、遊び紙に著者の蔵書票が付いていて、さらに、著者と、これを贈られた娘エマの署名が入っている。


表紙


蔵書票


署名
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