オースティン・フリーマン ‘A Fisher of Men’

 ‘A Fisher of Men’は、短編集“Dr. Thorndyke’s Case-Book”(1923)に収録されたソーンダイク博士物の短編。タイトルは、新約聖書「マルコによる福音書」第一章第十七節の「人間をとる漁師」に由来する。初出はピアスン誌1922年5月号で、同誌掲載時のタイトルは‘The Blue Diamond Mystery’だった。ノーマン・ドナルドスンは、‘In Search of Dr. Thorndyke’の中で、単行本版のほうが「示唆に富むタイトル」だとしている。ソーンダイクは、不審者が落としていった手提げ鞄の中身を手がかりにして青色ダイヤのネックレスの盗難事件を解決する。
 雑誌版で挿絵を描いているイラスト画家は、ハワード・K・エルコック。エルコックがソーンダイク物の挿絵を手がけたのは本作が最初で、1923年3月号の「バーリング・コートの亡霊」まで、計11作のソーンダイク物の挿絵を手がけている。

Fisher of Men 1

Fisher of Men 2

Fisher of Men 3


 なお、雑誌初出時には、ネックレスの隠し場所の手がかりとなる、生息地が限られた特殊なキセルガイ(Clausilia biplicata)のイラストと、犯人を突き止める手がかりとなる、ヘアブラシに付着した結節性裂毛(Trichorrexis nodosa)の顕微鏡写真が挿入されていた。これらのイラストと写真は、単行本には収録されていない。

Fisher of Men 4

Fisher of Men 5


 毛の顕微鏡写真は、‘The Anthropologist at Large’、「深海からのメッセージ」、さらに、(人間の毛だけではないが)‘The Trail of Behemoth’でも挿入されていて、フリーマンが好んだ素材といえる。
 ハンフリー・チャロナー教授物の“The Uttermost Farthing”でも、白輪毛(ringed hair)という特殊な毛が犯人を特定する手がかりとされていて、雑誌版を参照しても写真等は載っていないが、本来は顕微鏡写真があったのかもしれない。
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