ロイ・ヴィカーズ ‘The Man Who Married Too Often’

 ‘The Man Who Married Too Often’は、「迷宮課」シリーズの単行本未収録作品の一つ。以前ご紹介したように、フィクション・パレード誌1936年2月号に‘Molly the Marchioness’のタイトルで掲載され、標記タイトルに改題されてEQMM誌1948年10月号に再録された作品である。

 犯罪者はモリー・ウェブスターというミュージック・ホールの歌手。自分に好意を寄せた客の青年が侯爵の身分と知ると、母親と共謀して青年と関係を持ち、結婚を強いる。侯爵夫人となったモリーは、ハネムーンで宿泊したホテルで、夫が自分と結婚する以前に別の女性と結婚していたことを知る。その女性は既に死んでいたため、自分の婚姻の有効性に問題はないと知るが、数年後のある日、夫と息子とともに侯爵領の館に住むモリーのもとに、一人の女性が訪ねてくる。彼女は婚姻証明書を持参していて、モリーと結婚する以前に夫が結婚していた、さらに別の女性と分かる。そこへ夫が戻ってくると、モリーは夫の持っていたショットガンで彼女を撃ち殺す。夫も銃口を口に含ませて射殺し、靴下留めを引き金に結び付けて自殺を図ったように見せかけるが・・・。

 本作にはおなじみのレイスン警部は登場せず、事件を解決するのは「迷宮課」のタラント警視。以前ご紹介した‘The Three-foot Grave’と残りの未収録作‘The Holborn Murder’(改題:‘The Pluperfect Murder’)もタラント警視の登場作であるが、雑誌掲載時にタラント警視となっていたのが、単行本収録時にレイスン警部に変更された例が幾つもあるようなので、これらの作品も、もし単行本収録されていたなら、レイスン警部に変更されていたかもしれない。
 侯爵夫人という身分への虚栄心と息子の地位の保全のために殺人を犯す女を描く。ショットガンと偽装に使われた靴下留めが重要な手がかりとなるが、皮肉な結末が面白い。単行本収録されなかったのが惜しいほどの佳作だ。


EQMM1948-10
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