ロイ・ヴィカーズ ‘The Pluperfect Murder’

 ‘The Pluperfect Murder’は、「迷宮課」シリーズの単行本未収録作の一つ。フィクション・パレード誌1936年4月号に‘The Holborn Murder’のタイトルで掲載され、標記タイトルに改題されてEQMM誌1952年2月号に再録された作品である。

 犯罪者は、ハロルド・テイラーという青年。1908年にロンドンで開催された仏英博覧会で来場者用の車いすを押す係をしていた時に、フローレンス・アブソロムという金持ちの年配女性に気に入られ、彼女の運転手を務めるようになる。ミス・アブソロムは彼を自分のフラットに住まわせ、顧問弁護士のヘリアーに事務員として雇わせる。ミス・アブソロムは、ハロルドが彼女の遺産を相続するという遺言書をヘリアーに作成させていた。
 ハロルドはミス・アブソロムの窮屈な監視のもとで生活するのにうんざりし、ミス・サドラーという織物会社に勤める娘との交際を咎められたのをきっかけに、ミス・アブソロムの殺害を計画する。タイプ仕事の最中に、事務所の自分の部屋の窓から地階を通ってこっそり抜け出し、ミス・アブソロムのフラットに侵入して彼女を撲殺。誰にも見とがめられずに部屋に戻った彼のアリバイは完璧に見えたが・・・。

 犯行が露見するきっかけとなる手がかりは、ミス・アブソロムがハロルドに買ってやったスペアの鼻眼鏡。しかも、その鼻眼鏡は犯行そのものとは無関係であり、これを見つけて届け出たのも、ハロルドのことは何も知らない、わずかな謝礼金を期待した掃除婦だったという皮肉がストーリーのかなめになっている。
 捜査に当たるのは、「迷宮課」のタラント警視と部下のウィルモット巡査部長。例によって捜査陣の個性は希薄だが、その分、倒叙物らしく、犯罪者側の個性と動きが、少ない紙数の中でもよく活写されている。


EQMM1952-2
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