名探偵の群像

 CWA会員による投票結果に寄せて、ちょっと追加的な雑談を。
 今回のCWAによる‘Best Ever’の投票結果に疑問を感じた現地のミステリ・ファンもけっこう多かったようですね。イギリスのメディアでも、『ゴーリキー・パーク』や『羊たちの沈黙』が挙がっているのに、最近人気の高いスティーグ・ラーソンなどのスカンジナヴィア系のミステリがノミネートされなかったことに疑問が付されていました。
 英国系の作家に選択が偏るのは無理もありませんが(チャンドラーも実はイギリス人だった)、それでもハメットやシムノンが候補に挙がるあたりはバランス感覚を感じさせるところではあるでしょう。とはいえ、アメリカ人なら「スタウトはどうした?」と言いそうだし、日本のファンなら「クイーンが入ってないじゃないか」という意見が出そうです。
 日本で投票があれば常連といっていい『Yの悲劇』は、海外ではほとんど注目されていないし、『幻の女』も、それなりに評価は高いものの、日本ほどではありません。クロフツやヴァン・ダインは、今ではほとんど過去の作家扱いでしょう。ただ、最近、遺骨の発見で話題になったばかりなのに、『時の娘』が入らなかったのはちょっと意外でした。
 反対に、謎解き偏重の傾向が強い日本では分が悪いシムノンが、欧米では非常に人気が高いのも事実で、彼の地の書店に行っても、メグレ物の英訳は今でもよく並んでいます。改めて人気の高さを証明したといえるでしょう。アリンガムも、日本では人気がいま一つですが、本国では根強いファンがいるし、北米の書店でもよく並んでいますね。
 個人的には、歴史的意義や質の高さ、今日における人気・知名度などをバランスよく考慮して選んだシリーズ探偵の顔ぶれとして一番納得がいくのは、1981年にストックホルムで開催された世界推理作家会議(International Crime Writers Congress)で使用された名探偵群像のイラストでしょうか。まさに殿堂入りにふさわしい顔ぶれといえます。フィリップ・マーロウのようなハードボイルド系は省かれていますけどね。さて、それぞれ誰なのか分かるでしょうか?

Crime Writers Congress
 左から、ピーター・ウィムジイ卿、ミス・マープル、ギデオン・フェル博士、ブラウン神父、メグレ警視、オーギュスト・デュパン、シャーロック・ホームズ、エルキュール・ポアロ、チャーリー・チャン、エラリー・クイーン、ネロ・ウルフです。
 チャーリー・チャンは意外と思われるかもしれませんが、アメリカでは映画の影響もあってとても知名度が高いんですよ。いやはや、これだけ見事に顔を揃えたら、どんな難事件でも解決してしまいそうですね。
 どうです? これなら納得がいくでしょ。え? まだ抜けてるって? 申し訳ありませんが、あとはご自身で補ってください・・・
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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海外と日本で評価がわかれるものは結構ありますよね…
海外でいくつものシリーズが出ているのに日本では一作だけの翻訳だとか…最近読んだイヴァン・T・ロス氏の「女子高校生への鎮魂歌」に魅了を感じて他の作品を調べたら日本ではそんなに評判にならなくて紹介されていなくてがっかりしたり…
そのあたりはやっぱり国民性が関係するのかなと感じたりしました…

名探偵の群像のイラストはどこかで見たことがあるなと思えば、偕成社版のシャーロック・ホームズ全集にあったことを思い出しました(解説が子供向けを意識しながらも、結構マニアックだった印象があります。自分はそこでマーダー・インクの著作やジュリアン・シモンズ氏の名前を知りました)
今見てもイラストがそこまで古い印象を受けないと同時に今も人気があるのがすごいと感じます…自分は名前を知っているだけでほとんど読んでいないのですが…

長文失礼しました

1972年にニカラグアで発売されたインターポール50周年の記念切手では
ペリー・メイスンも入っていました。かつては絶大な人気がありましたが
今はすっかり下火になってしまったようです。

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