戯曲『招かれざる客』の舞台写真

 チャールズ・オズボーンが記しているように(『アガサ・クリスティー生誕100年記念ブック』早川書房75頁)、クリスティの「劇場での黄金時代」は、1951年の『ホロー荘の殺人』から始まる。
 見方変えると、それ以前は不作の時代だったということになるが、実際、1943年の『そして誰もいなくなった』を別にすれば、さほど目覚ましい成果は挙げていないし、特に、『死との約束』と『ナイルの殺人』は惨憺たる結果に終わったようだ。いずれも、エキゾチックでスケール感のある物語の背景と実際の視覚に映る舞台空間とのギャップが気になりそうな作品で、もちろんそれが公演失敗の原因かどうかは分からないが、黄金時代に入ってからは、不思議とこうした大風呂敷の設定の作品はなくなり、邸や山荘といった、いかにもクリスティらしい「メイヘム・パーヴァ」を舞台にした作品が多くなる。『招かれざる客』もサウス・ウェールズにある邸の書斎が舞台だ。
 『招かれざる客』は、1958年8月にウェスト・エンドのダッチェス・シアターで初演が行われ、公演は18か月、604回に及ぶロングランとなって好評を博したという。サミュエル・フレンチ社からは、その年のうちに台本版が刊行されている。私にとっても初めて読んだクリスティの戯曲で、個人的には一番のお気に入り作品である。
 なお、『招かれざる客』については、チャールズ・オズボーンが、『ブラック・コーヒー』、『蜘蛛の巣』と同様に、戯曲をノベライズしたものが1999年に出ており、本作のノベライズ版の邦訳は講談社文庫から出ている。
 サミュエル・フレンチ社の台本版の巻頭に挿入されている舞台写真を以下にアップしておく。


招かれざる客


 余談だが、私の所持している早川文庫の邦訳は、栗原小巻と林隆三が写ったテレビドラマのシーンの写真がカバーに使われている。ついでに言うと、『鏡は横にひび割れて』も、映画「クリスタル殺人事件」からの写真がカバーに使われている。よくは知らないが、もしかすると珍しいものなのだろうか?? いずれも、その後は真鍋博氏のイラストに差し替えられたようである。
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