クリスマスのミステリ

 クリスマスに殺人とはいかにも冒涜的な響きがあるが、もちろん、本格ミステリ・ファンにとっては、殺人はあくまで謎解きという知的なゲームを楽しむための虚構的前提にすぎない。クリスマスにもいろんな過ごし方があるだろうけれど、恋人や友人、家族との特別な予定もないとなれば、のんびりミステリを読んで過ごすのも一興というものだろう。
 クリスマスをテーマにしたミステリ、というと誰しもすぐに思いつく作品は幾つもあるはず。アガサ・クリスティの『ポアロのクリスマス』、ジェームズ・ヤッフェの『ママのクリスマス』、R・D・ウィングフィールドの『クリスマスのフロスト』など、タイトルにクリスマスを冠したものも少なくないからだ。
 アルバート・J・メネンデスという人が、ミステリをテーマ別に分類した“The Subject is Murder: A Selective Subject Guide to Mystery Fiction”というリファレンス・ブックを1986年に出している。「広告」、「考古学」、「芸術の世界」という具合にテーマごとに章を設けていて、第13章が「クリスマスのミステリ」で、全部で132作がリストアップされている。もっとも、クリスマスに関わっていればすべてヒット、という選び方なので、必ずしもクリスマスが重要なファクターを占めている作品ばかりではない。
 これを参照すると、このブログで紹介してきた作品の中でも、アンソニー・アボット“About the Murder of a Startled Lady”、ナイオ・マーシュ“Tied Up in Tinsel”、クリフォード・ウィッティング“Catt out of the Bag”が挙げられている。
 最多の3作が挙げられている作家は、ニコラス・ブレイク(『死の殻』、『雪だるまの殺人』、『短刀を忍ばせ微笑む者』)、エド・マクベイン(『麻薬密売人』、『サディーが死んだとき』、『幽霊』)、ヘレン・マクロイ(『幽霊の2/3』、『割れたひづめ』、『読後焼却のこと』)の3人。
 ほかにめぼしいものを挙げると、邦訳のあるものだけでも、

 アイザック・アシモフ編『クリスマス12のミステリー』
 メアリ・ヒギンズ・クラーク『暗夜に過去がよみがえる』
 ウィリアム・L・デアンドリア『殺人アイスリンク』
 カーター・ディクスン『白い僧院の殺人』
 イアン・フレミング『女王陛下の007』
 マーサ・グライムズ『「エルサレム」亭の静かな対決』
 ダシール・ハメット『影なき男』
 シリル・ヘアー『英国風の殺人』
 マイケル・イネス『霧と雪』
 エマ・レイサン『死の信託』
 シャーロット・マクラウド『消えた鱈』
 ジェイムズ・マクルーア『暑いクリスマス』
 パトリシア・モイーズ『雪と罪の季節』
 ロバート・B・パーカー『拡がる環』
 エラリー・クイーン『エジプト十字架の謎』、『最後の一撃』
 パトリック・クェンティン『追跡者』
 ローレンス・サンダーズ『魔性の殺人』
 ジョルジュ・シムノン『メグレ警視のクリスマス』

 という具合で、クリスマス一日ではとても読み切れないくらいあるのが分かる。年末年始の楽しみに回してもまだ読み切れないほどだ。
 おっと、カーター・ブラウンの『女海賊』を忘れてた・・・(笑)
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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