「前科者」

 『歌う白骨』収録作品の中で、‘The Old Lag’(邦題「前科者」)は、唯一、倒叙物ではない。この作品も単行本に収録されるまでにややこしい経緯をたどっている。
 「前科者」はもともと、ピアスン誌1909年4月号に‘The Scarred Finger’(傷痕のある指)という題で掲載されたものであり、1908年12月号から1909年7月号にかけてピアスン誌に連載された‘John Thorndyke’s Cases’という最初のシリーズの一つだった。
 このシリーズの他の短編は、チャトー&ウィンダス社の“John Thorndyke’s Cases”(1909)に収録されたが、この作品だけはなぜか収録されなかった。
 その結果、第二短編集『歌う白骨』に収録されることとなったのだが、本来は倒叙物ではないため、オリジナルの雑誌版では切れ目のなかったストーリーをぎこちなく二分割し、第二部の冒頭部分を書き改めて、『歌う白骨』収録の他の倒叙物と構成が似通ったものになるように仕立ててある。
 オリジナルの雑誌版はその後も再録されることはなく、ピアスン誌を参照する以外にないが、どちらがベターかは意見が分かれそうなところだ。
 以下にアップするのは、ピアスン誌に掲載された際のH・M・ブロックによる挿絵。


前科者1

前科者2

前科者3

前科者4
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