ダグラス・G・グリーン氏70歳記念献呈論集

 『ジョン・ディクスン・カー〈奇蹟を解く男〉』の著者として知られるダグラス・G・グリーン氏の70歳を記念して編集された献呈論集“Mysteries Unlocked: Essays in Honor of Douglas G. Greene”(2014)を紹介しておこう。編者は、“Masters of the “Humdrum” Mystery”、“The Spectrum of English Murder”の著者、カーティス・エヴァンズ氏。
 収録論文にはストレートにカーとグリーンについて論じたものもあるが、(タイトルから連想されるように)特に不可能犯罪にテーマを絞っているわけではなく、名だたる論者がそれぞれ得意とする作家を論じたものが主で、『アガサ・クリスティーの秘密ノート』、“Agatha Christie’s Murder in Making”の著者、ジョン・カランがクリスティ、「ディテクション・クラブ」の記録保管係で“The Golden Age of Murder”の著者、マーティン・エドワーズがアントニイ・バークリー、“Campion's Career”の著者、B・A・パイクがマージェリー・アリンガム、ピーター・ラヴゼイがドロシー・セイヤーズを取り上げているという具合だ。エヴァンズ氏自身は、編者として気を吐いて、序論のほかに三本も論文を寄稿し、キャロリン・ウェルズ、T・S・エリオット、レイモンド・チャンドラーをそれぞれ取り上げている。
 なかでも、ジョン・カランはクリスティと不可能犯罪をテーマに取り上げていて、カーと比べれば圧倒的に不可能犯罪ものの少ない彼女の同テーマの作品を選りすぐって特徴を論じているのが興味深い。『スタイルズの怪事件』が実は『黄色い部屋の謎』と構図が似ているというのは、言われてみて初めて気づき、驚いたものだ。
 気になるのは、プロローグを書いているスティーヴン・スタインボックが、グリーン氏が(病気か事故かは分からないが)数年前に危うく死に瀕したらしいことに触れている点。幸い回復されたようだが、グリーン氏にはミステリ研究家としてまだまだ活躍してもらわねばなるまい。
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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