ハメット サム・スペード物の未完短編“A Knife Will Cut for Anybody”

 “The Hunter and Other Stories”(2013)は、ハメットの未刊行短編・映画原案を中心に編纂されたもので、編者は“Return of the Thin Man”と同じく、リチャード・レイマン、ジュリー・M・リヴェット。コンチネンタル・オプの登場する作品こそないものの、12の未刊行短編のほか、雑誌に掲載されたままだったり、後年発掘された初収録作品5編、3本の未刊行映画原案を収録しているが、一番注目されるのは、付録として収録されているサム・スペードものの未完短編“A Knife Will Cut for Anybody”だろう。
 スペードの登場する作品は、長編『マルタの鷹』のほか、「スペイドという男」、「二度は死刑にできない」、「赤い灯」(いずれも邦訳は『スペイドという男』〔創元推理文庫〕収録)という三つの短編が知られているが、それ以外に、未完の短編がもう一つあったわけだ。
 解説を書いているリチャード・レイマンは、既刊のスペードもの三篇について、真面目に取り組んだ作品とは言い難く、2編は初期の「ブラック・マスク」に載せた作品のリライトだし、もう一つはひどく中身が乏しいとして、手厳しい評を下している。“A Knife Will Cut for Anybody”は、わずか6頁の未完作品で、アルゼンチンの領事に依頼されてテレサという女性を探していたスペードが、ナイフで惨殺された彼女の死体を部屋で発見するところから始まる。他の作品でもおなじみのダンディ警部補とポルハウス主任刑事も登場している。
 この作品の存在を知ったきっかけは、故小鷹信光氏の編訳書『チューリップ』の巻末作品リスト。できれば、これらの作品も小鷹氏の名訳で接したかったものだ。本当に惜しい方を亡くした。
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