スチュアート・パーマー“The Riddles of Hildegarde Withers”

 スチュアート・パーマーの“The Riddles of Hildegarde Withers”(1947)は、「クイーンの定員」に選ばれたヒルデガード・ウィザーズものの短編集。全8編を収録し、編者のエラリー・クイーンが序文を寄せている。オリジナル・ペーパーバックとして30セントで発売されたものだが、その後版を重ねることなく、今日では稀覯本と化している。
 ウィザーズものの短編集としては、ほかに、同じくクイーンが編纂した“Monkey Murders and Other Hildegarde Withers Stories”(1950)、クレイグ・ライスとの共作による『被告人、ウィザーズ&マローン』(1963)、クリッペン&ランドリュ社から刊行された“Hildegarde Withers: Uncollected Riddles”(2002)がある。後者の巻末書誌によれば、ウィザーズものの短編は、‘The Riddle of the Dangling Pearls’(1933)から‘Hildegarde Plays It Calm’(1969)まで、判明しているものだけでも42編あり、クイーン編の二つの短編集に収録されたのは、‘The Riddle of the Yellow Canary’(1934初出)を除けば、「医者と瓜ふたつの男」(1937初出)以降の作品ばかりで、1930年代前半の初期短編の多くはクリッペン&ランドリュ社がまとめるまで雑誌掲載のまま埋もれていたことになる。
 本作は、フリーマン流の倒叙に挑みつつ動機の謎の解明にクライマックスを築く‘The Riddle of the Yellow Canary’、競売にかけられた箪笥から死体が転がり出る発端と意外な指紋の主の正体が独創的な「青い指紋の謎」、宝石店強盗のドタバタと意外な宝石の隠し場所が面白い「緑の氷」など、さすがクイーンが選りすぐっただけあって、このシリーズらしいユーモアとアイデアに富んだプロットが盛り沢山の短編集だ。


収録作(カッコ内は初出年)
The Riddle of the Lady from Dubuque(1942)  西部から来た叔母さん(別冊宝石75号)
The Riddle of the Yellow Canary(1934)
The Riddle of the Blue Fingerprint(1938)  青い指紋の謎(EQ1982年1月号)
The Riddle of the Doctor's Double(1937)  医者と瓜ふたつの男(『クイーンの定員Ⅲ』光文社文庫)
The Riddle of the Twelve Amethysts(1945)  12の紫水晶(『復刻エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジンNo.1-3』早川書房)
The Riddle of the Black Museum(1946)  犯罪博物館の謎(『アメリカ探偵作家クラブ傑作選2』東京創元社)
The Riddle of the Green Ice(1942)  緑の氷(『犯罪の中のレディたち上』創元推理文庫)
The Riddle of the Snafu Murder(1945)  混乱した殺人(ミステリマガジン1979年5月号)


                     Riddles of Hildegarde Withers
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