オースティン・フリーマン ‘The Stalking Horse’

 ‘The Stalking Horse’は、ピアスン誌1922年8月号に‘The Affair at Densford Junction’というタイトルで掲載され、のちに短編集“The Magic Casket”(1927)に収録された際に標記のように改題された。列車のコンパートメント内で女性参政権反対論者の男が射殺され、容疑者として逮捕された女性の無実をソーンダイク博士が証明する。
 ピアスン誌で挿絵を描いているのは、ハワード・K・エルコック。


               Stalking Horse 1


               Stalking Horse 2


               Stalking Horse 3


               Stalking Horse 4


 なお、ピアスン誌版には、ソーンダイクが謎を解く手がかりとなる紙片の写真が掲載されていたが、単行本には掲載されていない。手書きの字は明らかにフリーマンの筆跡だ。

               Stalking Horse 5

 この機会にピアスン誌版と単行本版の顕著な違いについて改めて触れておく。フリーマンは、短編の多くで写真や図版を用意していたが、単行本に収録された際に、オリジナルのピアスン誌版には掲載されていたこれらの写真や図版が省かれている例が多い。例えば、“The Magic Casket”には9編の短編が収録されているが、そのうち6編に、ピアスン誌版では写真が掲載されていたのに対し、単行本には一つも収録されていない。
 フリーマンの版元だったホダー&スタウトン社の判断と思われるが、ノーマン・ドナルドスンも、“In Search of Dr. Thorndyke”の中で同様の指摘をしている。そこから考えると、長編でも、『猿の肖像』だけでなく、本来はこうした写真や図版が用意されていたものが多かったのではないかと思えてならない。“The Shadow of the Wolf”のコルクのボタン、『ポッターマック氏の失策』の足跡の写真などは、特にそうした疑いを強く感じる。
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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「社会改造の敵」

この作品は、大正期に雑誌「新趣味」に「社会改造の敵」として訳載されたらしいのですが、寡聞にしてそれ以外の訳をききません。これでは大抵の人には訳がないのも同じです。然も、あの頃の訳は可也翻案に近いものもあったやに聞きます。良訳が待たれる作ですね。

邦語のリファレンス・ブックやネットにも出ている情報ですが、自分で参照したことのない邦訳なので詳しくは知りません。

新趣味」大正11年12月号収載の訳文

先日、意を決して、永田町の国立国会図書館迄出掛けて来ました。目的の一つに同館の蔵書に「新趣味」大正11年12月号があると云う事なのでそれをみる為です。建物の新館の方の蔵書だと云う事で利用手続きをした建物から出る事無く、館内借出手続きが出来ました。古い雑誌の為マイクロフィルム化されて居るので吏員に操作を御願いし乍、「社会改造の敵」を印刷して貰い自宅で読む事を得ました。

ここで、後半の薬剤の事を云ってしまうとタネをわるので書きませんが、始めの方で逮捕される婦人参政権論者の潔白を証明する訳です。挿絵も入って居るのですが何故か三葉のうち二つ迄が別の話のためのもので、この作のものは予審中に電報を渡される場面の一葉丈です。

序に「遺言状の行方」(「新青年」大正11年10月号、妹尾アキ夫譯)も復刻版から複寫をして貰ったので、2015年迄に紙媒体で公刊された、ソーンダイク博士ものはすべて讀んだ事に成ります。

それはけっこうなことでした。
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