マーティン・エドワーズ(現ディテクション・クラブ会長)の『オシリスの眼』評

 “The Golden Age of Murder”(2015)の著者であり、ディテクション・クラブの会長にしてCWA(英国推理作家協会)会長のマーティン・エドワーズ氏が、“The Story of Classic Crime in 100 Books”(2017)を刊行した。
 要は、(序文で著者も述べているように)ジュリアン・シモンズやH・R・F・キーティングなども公表してきたのと同様のクラシック・ミステリの100選というわけだ。エドワーズの言う「クラシック・ミステリ」とは、現代の推理小説ファンが今なお愛着を持ち続けている、1901年から1950年までに刊行された作品を指す。
 全体のリストについては記事を改めて紹介するとして、エドワーズは、R・オースティン・フリーマン『オシリスの眼』も100冊の一つに挙げているので、先ずはそこから。
 「『オシリスの眼』は、マサチューセッツ州ボストンで起きた実際の殺人事件の要素と、法医学、エジプト学、ロマンスを融合させた作品である」という冒頭の要約は、ある意味、簡にして要を得た同作の解説と言えるだろう。
 内容的には、『オシリスの眼』が、米ボストンで起きたパークマン=ウェブスター事件をモデルにしていること、恋愛要素が必ずしも受けなかったこと、レイモンド・チャンドラーから賞賛されたことなど、なにやら私自身のあとがきとオーヴァーラップする点が多いことに気づくが、もちろん、私の訳書のほうが先に出たのであり、エドワーズ氏の解説を私がパクったわけではない(笑)。むしろ、エドワーズ氏も基本的な研究を踏まえて書いたことが、結果的に似た内容になったということではなかろうか。
 エドワーズの選んだ100冊は、キーティングと異なり、ゴレル卿、ルパート・ペニー、アントニー・ウィン、イヴリン・エルダー(ミルワード・ケネディ)等々といった、以前ならコレクターやマニアしか目を向けなかった埋もれた作家たちの作品も含んでいるのが面白い。クラシック・ミステリ・ファンなら、これまでの主だった名作選の中でも、一番親近感を抱きそうな100冊ではないだろうか。
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