「ミステリマガジン」にジョン・ロード『代診医の死』の書評

 「ミステリマガジン」2017年11月号(早川書房)において、若林踏氏に『代診医の死』(論創社)を書評で取り上げていただきました。
 「丁寧に事実の積み重ねを見せていくところにこの作者らしさが滲み出ているが、実はそんな印象を吹き飛ばすような仕掛けが本書には待っている。とにかく「地味」というイメージで語られることの多いジョン・ロードだが、本書を読めば評価は一変するのではないだろうか」と若林氏は述べておられます。
 ジュリアン・シモンズがロードをはじめとする作家たちに「退屈派」というレッテルを貼ったのは、(“Bloody Murder”をよく読めば分かるのですが)人物造形や雰囲気描写といった小説家としての力量が欠けているという意味なのですが、シモンズはその一方で、彼らが「謎解きを構築する技量」を有することも認めていました。ただ、シモンズのような犯罪小説礼賛者にとっては、そんな技量は(無価値ではないものの)必ずしも高い評価には値しなかったようです。
 ところが、これまで紹介されてきたロードの作品は、残念ながら、(少なくとも私の見るかぎり)謎解きとしても「地味」な作品が多かったように思います。このため、ロードに対する「退屈派」のレッテルも、シモンズが使った本来の意味からずれ、謎解きのプロットそのものまでが「退屈」であるかのような誤解すら生んでいたかもしれません。
 シモンズ流の犯罪小説を求める向きにまでロードの作品を無理にお勧めしようとは思いませんが、謎解きを愛する本格ミステリ・ファンにとって、ロードの作品は決して「退屈」でも「地味」でもないし、若林氏の『代診医の死』評からもそのことが窺えるのではないかと思います。あらためて多くの読者の皆さんに楽しんでいただけることを願っております。
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