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マージェリー・アリンガム『ファラデー家の殺人』(仮題)刊行予定

 英国の探偵小説作家、マージェリー・アリンガムの『ファラデー家の殺人(仮題)』(Police at the Funeral:1931)が論創海外ミステリから刊行される予定です。

 ケンブリッジの旧家、ソクラテス屋敷のファラデー家を襲う謎の連続殺人。ファラデー家は、84歳の女主人、キャロライン・ファラデー夫人を筆頭に、娘のジュリア、息子のウィリアム、娘のキティ、夫人の甥のアンドリューという変わり者が揃った一家だった。そこに、ファラデー夫人の求めに応じて、一家の世話役として遠縁のジョイスが住み込むようになった。その一家に、夫人の義理の甥、住所不定のジョージが影のようにつきまとい、彼らを悩ませていた。
 三月の日曜、一家揃って教会の礼拝に出席した帰り、アンドリューが突如行方不明となる。一家の持て余し者だったアンドリューは家出したとも考えられたが、金もない彼の失踪に不審を抱いたジョイスは、婚約者の友人、アルバート・キャンピオンに支援を求める。
 ところが、アンドリューは十日後にグランタ川で頭を撃ち抜かれた死体となって発見され、失踪事件は殺人事件へと発展する。友人のマーカスの依頼を受け、キャンピオンは事件の調査に乗り出すが、それは一族を襲う謎めいた事件の序章にすぎなかった。キャンピオンが赴く前に、ソクラテス屋敷では第二の犠牲者が・・・。

 アリンガム(1904―1966)は、アガサ・クリスティ、ドロシー・セイヤーズ、ナイオ・マーシュと並んで、英国の〈ビッグ4〉の一人とされる作家です。『ファラデー家の殺人』は、彼女が創造した冒険家・探偵、アルバート・キャンピオンが登場する4作目の長篇です。
アルバート・キャンピオンは、英国推理作家協会(CWA)の会員によるアンケート結果を集計したHatchards Crime Companion(1990)で人気男性探偵の第5位に選ばれ(1位:モース警部、2位:シャーロック・ホームズ、3位:ピーター・ウィムジイ卿、4位:フィリップ・マーロウ)、1989年から1990年にかけて「キャンピオン」というピーター・デイヴィスン主演のBBCテレビのシリーズにもなった、英本国では大変人気の高いキャラクターです。
 アリンガムは様々なジャンルに挑戦した作家であり、これまで紹介されてきた作品を見るだけでも、冒険物(『甘美なる危険』『検屍官の領分』)、スパイ物(『反逆者の財布』)、風俗小説(『クロエへの挽歌』『屍衣の流行』)、スリラー(『霧の中の虎』『殺人者の街角』)など、その芸域の広さを感じ取ることができます。
 『ファラデー家の殺人』は、彼女の作品の中でも、『幽霊の死』『判事への花束』『今は亡き豚野郎の事件』『葬儀屋の次の仕事』などとともに、本格謎解き推理小説に属する作品であり、ロバート・バーナードが、アガサ・クリスティを論じた『欺しの天才』の中で、セイヤーズ『毒を食らわば』、クリスティ『五匹の子豚』と並んで、「真相がそれまでの出来事の論理的で唯一可能なクライマックス」となるような「最も納得のいく探偵小説の解決」の例の一つとして挙げている作品です。
 本作については、かつて六興推理小説選書の一冊として『手をやく捜査網』という大幅にカットされた抄訳が1957年に出ましたが、その抄訳も長らく入手困難でした。ここにあらためて全訳をご紹介するにあたり、多くの読者の皆様に楽しんでいただけることを願っております。
 なお、底本には、英ウィリアム・ハイネマン社の初版を用い、ハイネマン社やペンギン・ブックスのリプリント版等を適宜参照しました(リプリント版はわずかに誤植や脱落、異同があり、系図や図版が欠けているものもあるが、初版の明らかな誤植が直されている箇所もある)。


             キャンピオン

      フィリップ・ヤングマン・カーターにるアルバート・キャンピオンの肖像
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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

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